DSC EXPRESS
Vol.015

DSC EXPRESS Vol.015をお届けします。
毎月15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • 生活者の安全と業界の健全な発展のために

    生活者の安全と
    業界の健全な発展のために

    デジタルサイネージコンソーシアムが今年6月に策定したセンシングサイネージガイドラインには、「生活者の安全と業界の健全な発展のために」というコピーが添えられている。このコピーにはとても重要な意味が込められている。
    カメラやセンサーを利用して、デジタルサイネージの可能性と市場性を高めることは疑うまでもなく必須の事項である。その際の個人情報に関わる部分に関する運用については、経済産業省、総務省、IoT推進フォータラムらで規定している「カメラ利活用カイドブックVer.2.0(2018年3月)」がある。それをもとにしてデジタルサイネージに特化した内容としてまとめたものがセンシングサイネージガイドラインである。
    これまでのカメラなどを利用した事例の中には、生活者の不安を煽る可能性がある事例がなかったとは言えず、こうしたことは業界の可能性を狭める事になりかねない。
    街中に設置されている防犯カメラも、当初は「監視社会の到来か」との声があったが、今ではすっかり社会受容性を得ている。これはメリットとデメリットを社会が総合的に判断した結果であると考えるべきだ。
    デジタルサイネージコンソーシアムでは、ガイドラインに準拠した事例に関してはシンボルマークを掲示するように依頼をしており、これまでに小田急電鉄の「新宿駅デジタルウオール」の事例でマークがすでに使われている。こうしたマークの掲出は、事業者と社会の双方にメリットがある。
    デジタルサイネージにおけるセンシングデータの活用が社会に受け入れられるかどうか、そこがこれから試されることになる。そのためには生活者にメリットを提供できるかどうかにかかっている。(Y.E.)

  • つながり続ける時代の始まり

    つながり続ける時代の始まり

    「Zenly(ゼンリー)」というアプリをご存じだろうか?フランスZenly社が開発、電話番号やIDをベースにつながった人同士がそれぞれの居場所を見せ合い、知らせ続ける機能を持っている。
    プライバシーは大丈夫か?と心配にもなるが、スマホネイティブ世代には人気のアプリである。
    アプリストアの説明を以下引用してみる。

    Zenly(ゼンリー)で大切な友達と位置情報をシェアしよう。友達の現在地がわかるだけでなく、地図上に表示される友達とリアルタイムでチャットも可能。 お互いの位置情報の共有だけでなく、待ち合わせや合流時に「どこにいる?」と聞く必要はもういらない!
    メディアでも取り上げられた話題のコミュニケーションアプリ。アカウント作成は無料で超簡単!位置情報のシェアは限られた連絡先だけだから、安心して利用できます。

    Zenlyの特徴:
    友達の居場所がわかる
    ・大切な友達の位置情報がわかり、リアルタイムでチャットが可能
    ・待ち合わせや合流、人混みで迷子になってしまった場合に居場所がわかるから便利
    ・「一緒にいるよ」マークがあるから、仲良しグループでの位置情報シェアとチャットも可能

    地図上の友達とチャットができる
    ・LINEやKakao Talkのようにテキストチャットができる
    ・Zenly独自のかわいいアイコンが豊富

    安心安全
    ・位置情報のシェアは連絡先を登録している友達だけだから安心
    ・位置情報をシェアしたくない時は、「ゴーストモード」に切り替えることが可能
    ・友達ひとりひとりに対して、「ゴーストモード」にするか否かを選択することも可能

    その他
    ・誰とどこで一緒に過ごしたかをランキング形式で表示することができる
    ・繋がる友達が増えるほど、Zenlyのプレミアムスタンプが使える
    ・待ち合わせ場所への到着予定時刻を友達とシェアできる
    ・地図の正確度や地図の表示モード設定することができる
    ・スマホを紛失した場合でも、友達に確認してもらうことができる
    ・バッテリーの消費を抑えながら位置情報をシェアできる

    おわかりいただけただろうか?
    文字を打つこともなく、ただスマホを持っているだけで、信頼できる仲間と行動を共有できるだけでなく、ゲームの要素も盛り込まれ、達成感や優越感を味わうことも可能になっている。
    これまではリアルの世界で近くにいる人同士が、眼やそのほかの手段でお互いの居場所や予定を確認しながら、わざわざ行動を共にするというアクションを取ることが当たり前であった。
    しかし、こうしたアプリを活用することで、今置かれている状況をオンラインで拡張して、オフラインでの行動をより簡単に実現することが可能になる。まさに、つながり続けることが当たり前となった、「アフターデジタル」の世界の、オンラインとオフラインが溶け合った時代を体感する先駆けとも言えそうだ。(M.I.)

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    リテールのデジタル化で、「LUSH」は日本からコスメティック・レヴォリューションを巻き起こす 記事元:WIRED 7月11日

    バスタイムやメイクアップを彩るコスメティック用品は、人や環境にもっと“優しく”なれないだろうか。あまりに多い文字情報、手に取りたくなるとはいえやりすぎ気味のパッケージは、あらゆる場面で実は障害になっているかもしれない──。こうした思いから、コスメを限りなく“naked(裸)”な姿に変えてきた化粧品ブランド「LUSH」が、リテールのデジタル化に乗り出した。同社チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)のジャック・コンスタンティンの目に映る、これからのコスメのかたちを訊いた。

    自然素材を使った化粧品などを販売するLUSH。新宿にニューオープンした店舗が新たな試みを始めている。
    「デジタルパッケージ」と呼ばれる試みの内容は、商品が包装や説明札も無い中身だけの状態で陳列され、客は専用アプリを使いスマートフォンで裸のままの商品をスキャンしたり、店内のサイネージ動画を見ることで情報を得る、というものだ。元々LUSHは過度な包装をしないスタイルであったが、こうすることで商品の包装〜店内の説明札すらも省き、ゴミを減少させることができる。環境保護への期待と同時に、筆者はいよいよ現実世界がデジタル空間に取り込まれてきた、という気持ちにもさせられた。
    中国のアリババ・グループが展開するフーマーでは、LUSH同様の例の他にも「ニューリテール」のコンセプトの下に、オフラインの実店舗をオンラインの購買活動につなげる導線として、デジタルでの行動に主眼を置いた様々な施策を行なっているのだ。日本もスマートフォン決済サービスの普及が進む中、今後新たなビジョンを持った店舗が出てくるのではないだろうか。我々の生きる世界は、もはやデジタル世界の一部と言っても過言ではないとも言える。しかし、今回の記事にもあるように「テクノロジーを正しく使う」ということは忘れてはならないだろう。「使われる」ようになると、きっとそこに予想していなかった問題が発生してしまう。そうならないためにも、自分なりのデジタル世界との付き合い方を考えておきたいものである。(K.S.)

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