DSC EXPRESS
Vol.009
DSC EXPRESS Vol.009をお届けします。
毎月1日・15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。
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交通広告でも進む標準化!?
~交通広告系サイネージ
「入稿データ共有プラット
フォーム(TADSS)」
全国展開~
デジタルサイネージの配信システムはテレビやWEB分野とは異なり、標準規格というものが無い。これはサイネージが比較的最近にマーケットを拡大してきた分野であり、各メーカーやシステムベンダーが競って機能の強化を進めてきたためである。これはこれですばらしいことではあるが、特に現状、サイネージの入稿フォーマットは運用されるシステムやシステム導入時期によって事業者毎にバラバラである。よって複数のサイネージメディアで広告展開を行う広告会社や広告主は手間とコストをかけて、媒体社毎のフォーマットの素材を制作しなければならなかった。
今年の2月21日に全国の鉄道系サイネージ媒体社23社局が連名で発表した「入稿データ共有プラットフォームTADSS(タッズ)」はこの課題を解決する画期的な取り組みである。このサービスは昨年7月に首都圏11社局で新たに提供が始まり、短期間に全国の事業者の参画を得て拡大したものである。
広告会社は標準仕様データを一つ制作してこのシステムにアップロードするだけで、放映を希望する各社サイネージのフォーマットに自動変換してくれる。全国の主な鉄道系サイネージ媒体社が連携してこのプラットフォームを運用している。
「競争から共創へ」とは最近多く耳にするキーワードだが、交通広告業界では複数の事業者が連携して標準化を推進、業界全体の価値向上を図る取り組みが進みつつある(T.Y.)
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リアルタイム&
インタラクティブな
映像表現を支える
TouchDesignerとは?
これまで、イベントや広告で使われる映像やプロジェクションなどのコンテンツは、ごく限られた専門家がそれなり予算で作る、というのが当たり前の世界だったかもしれない。しかしながら、近年登場してきているツールを活用することで、映像表現への参入障壁が⼤幅に下がり、さらにビジュアルに、よりインタラクティブに進化させることが可能な時代が訪れている。
去る4月9日に行われたDSC定例会で紹介されたTouchDesigner(タッチデザイナー)は、そうしたツールの一つであり、急速にその活用の幅が広がってきていることから、注目している人も多い。
カナダのDerivative社によって開発されたTouchDesignerは、ノードベースのビジュアルプログラミングツールで、プロジェクションマッピング、LED制御、音響制御、センサーを活用したメディアアート、ライブでのVJなどの映像、サービスのプロトタイプ制作など、いろいろな場面で使われ始めており、特に、インタラクティブなコンテンツの制作に強みがある。
1.TouchDesignerの特徴
① ノードと言われるさまざまな機能を持った箱を繋ぎ合わせていくだけで、コードを書く必要がないため、比較的容易に開発・制作が可能。
② 再利用がしやすいため、開発効率が良い。
③ カメラやセンサーなどの外部デバイスとの連携がしやすい。
2.TouchDesignerの利点
① デジタルサイネージ、プロジェクションマッピングなど、映像・音響、センサーを活用した分野の提案や検証のスピードアップとコストダウンが図れる。
② プログラミングが必要ないため、これまでデザイン主体だった領域でもプロトタイプの制作、UXの検討やフィードバックが容易。
③ コードでなく、機能の見える化がされており、再利用、変更、デバックがしやすいだけでなく、PythonやC++などのライブラリーをインポートして機能拡張ができる。
④ トライ&エラーが容易であることに加え、最終的なコンテンツとしての品質を担保できる速度や安定性を有する。
今年の秋からプレサービス、来年には本格的なサービスが始まる5Gと、センサーなどのIoTの普及、TouchDesignerなどのツールの充実によって、リアルタイム&インタラクティブなデジタルサイネージ、あるいは、ダイナミックOOHの世界も今後さらに発展を遂げて行くことだろう。(M.I.)
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デジタルサイネージ
NEWS解説
バス乗客に電子掲示板の大喜利の回答募る 姫路の広告代理店 記事元:神戸新聞NEXT 2019年4月12日
「このバス、ゴージャスやなあ。どんなバス?」。神姫バスグループの広告代理店「神姫クリエイト」(兵庫県姫路市北条)がバス車内のデジタルサイネージ(電子看板)で大喜利を始めた。乗客から回答を募り、面白い作品を放映する。同社は「賞品はありませんが、奮って応募してほしい」と呼び掛けている。
設置される場所が増加し、大小様々な種類を見かけるようになったサイネージも、コンテンツカテゴリは広告・情報系と、大雑把に分けて2種類になる。
街を歩いている時や交通機関を利用する際にサイネージを見かけると、広告や商品のプロモーション映像、あるいはニュース・天気、施設案内等の情報が流れていることが多いが、今回の神姫バスグループのようなケースは少々珍しいと言えるものかも知れない。
視聴者が大喜利に応募して何か賞品を得られるものでも無く、中身も非常にシンプルではあるが、いわゆる”ながら時間”を利用した楽しいコンテンツではないかと筆者は思う。
視聴者参加型のコンテンツは、イベントやPRの際によく見られるがどれも大画面or多数のディスプレイを使用した大規模なもので、話題にはなるが相応のコストを要するであろうと予想できる。また、そのサイネージの前で自らアクションを起こさなければならないものもあり、興味はあるものの筆者は恥ずかしさから遠慮しがちだ。
だが今回のような小さな規模感であれば、自分の頭の中で大喜利を考えて好きなタイミングで応募が可能であるし、ついつい画面を見てしまい、他の投稿作品を読んでクスッとしながら楽しい気分にもなれる。周りを気にせず自分の中だけで楽しむことが出来るのだ。
広告や情報のみならず、日常の中にちょっとした笑いであったり、喜びや楽しさを与えてくれるような、そんなサイネージの役割にもこれから期待したいところである。(K.S.)
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